使い方ガイド
Macでレーザーカッター用のデータを作る
— DXF・SVGで入稿する前に確認したいこと
送ったデータが「開けない」と返ってきた、切ってもらったら寸法がわずかに違っていた、同じ線を二度切って焦げてしまった——。レーザーカッターやCNCの加工データは、画面で正しく見えていても、そのままでは加工できないことがあります。Macで加工用データを作るときにつまずきやすい点を、形式・原寸・線の3つに整理しました。
加工機が読むのは「絵」ではなく線の情報
レーザーカッターやCNCは、輪郭の座標をたどってヘッドを動かします。つまり機械が必要としているのは、どこからどこまでが1本の線なのかという情報です。写真やスクリーンショットのような画像データには、その情報がありません。「見た目は図面なのに入稿できない」と言われるファイルは、たいていここが理由です。
渡すべきなのは、線・円弧・曲線が数値として入っているベクターデータです。加工の現場で最も広く受け付けられているのがDXFで、SVGを受け付けるサービスも増えています。
まず、加工先の入稿要項を読む
形式・単位・レイヤの分け方・線の色の意味づけは、加工サービスや加工機のソフトごとに決まっています。作り始める前に入稿要項を1度読んでおくと、作り直しがほぼなくなります。特に次の4点は最初に確認しておく価値があります。
- 受け付けるファイル形式(DXFのみか、SVGも可か)と、DXFの形式バージョン指定の有無
- 単位(ミリメートルで作るのが一般的です)
- カット・彫刻・下書きの区別をどう表すか(レイヤ名で分ける/線の色で分ける)
- 加工できる材料の最大サイズと、部品どうしの最小間隔
つまずきやすい3点
1. 原寸(1:1)で作られていない
加工データは実物と同じ大きさで作ります。図面として印刷するときの縮尺(1:10など)をかけた状態のまま入稿すると、10分の1の大きさで切られるか、倍率の確認で工程が止まります。
ここは描画ソフトでの制作がいちばん危ないところです。画面上の「1目盛」が実物の何ミリなのかをソフトが管理していないと、書き出した瞬間に大きさの根拠が失われます。CADで作る場合は、実物の寸法(mm)をそのまま入力して描き、縮尺は印刷のときだけ効かせるのが基本です。
2. 線が重なっている・輪郭が閉じていない
同じ位置に線が2本あると、機械はその線を2回切ります。材料が焦げ、加工時間が延び、時間課金なら料金も上がります。コピーして貼り重ねた部品や、四角を線4本で描いて角が数ミリずれている図形は、見た目では気づけません。
入稿前に、重なった線を消す・角がつながっているかを拡大して確認することをおすすめします。切り抜きたい形は、輪郭が一周閉じている必要があります。
3. 線の意味が機械に伝わらない
「この線は切る」「この線は彫る」「この線は位置合わせ用で加工しない」の区別は、レイヤか線の色で表します。要項に従って分けたうえで、使わなかった補助線・下書き・図面の枠は入稿前に消すのが確実です。消し忘れた補助線がそのまま切られる事故は、初回の入稿でよく起こります。
文字も注意が必要です。文字要素のまま渡すと、加工側の環境にそのフォントが無くて別の字形になったり、そもそも加工対象として認識されなかったりします。彫刻したい文字は、要項の指定に従って線データとして作るか、彫刻レイヤに置いて明示します。
Macでデータを作るときの選択肢
- 図形描画ソフト — デザインは得意ですが、実寸ミリでの管理とDXF書き出しが弱いことが多く、寸法の根拠が残りません。ロゴなど「形だけ」のデータには向きます。
- 3D CAD — 立体としてモデリングし、切り出す面を平面データとして出す方法です。立体の検討が必要なら有力ですが、板から切るだけの部品には手数が多くなります。
- 2D CAD — 実寸で描き、寸法を入れ、DXFやSVGで書き出すという流れがそのまま製作工程になります。板材の切り出しが目的なら、これがいちばん短い道です。
Olmeの場合
当サイトで開発している Olme(オルメ)は、macOSネイティブの2D CADです。実物の寸法をミリメートルのまま入力して描き、DXF・SVGで書き出せます。原寸(1:1)での印刷にも対応しているので、切り出したい形を紙に刷って材料に当て、大きさを確認してから入稿することもできます。
なお、受け付けてもらえる形式・形式バージョンは加工サービスごとに異なります。実際に入稿する前に、要項の指定と書き出したデータが合っているかをご確認ください。
入稿前のチェックリスト
- 要項どおりの形式(DXF/SVG)で書き出したか
- 実物と同じ大きさ(1:1・単位はmm)になっているか
- 重なった線・二重の輪郭が残っていないか
- 切り抜く形の輪郭が閉じているか(角の未接続がないか)
- カット・彫刻の区別をレイヤか色で表せているか
- 補助線・図面枠・寸法線など、加工したくない線を消したか
Olmeの公開通知を受け取る
Olmeは、縮尺・寸法・DXFを前提に作られたmacOSネイティブの2D CADです。実寸で描いてDXF・SVGで書き出せます。買い切りで、月額・年額の課金はありません。現在リリース準備中(2026年公開予定)で、公開時は7日間の無料お試しからご利用いただけます。公開時のお知らせは、メールアドレスのご登録で受け取れます。
よくある質問
デザイン用に作ったデータをそのまま送ってはだめですか?
形だけを彫刻するような用途なら通ることもあります。ただし寸法を指定して切り出す部品では、実物と同じ大きさになっているか・線が重なっていないかの2点を必ず確認してください。この2つは加工先では直せず、確認の連絡で工程が止まる原因になります。
SVGとDXF、どちらで渡すべきですか?
加工先の要項に従うのが原則です。指定がなければDXFが無難です。図面としての寸法や単位を持ち運べるうえ、加工機のソフトでの対応が広いためです。SVGは表示・デザイン用の形式なので、単位の解釈がソフトによって変わることがあります。
レーザーの太さ(カーフ)はデータ側で見込むべきですか?
加工機と材料で変わるため、加工先の指示に従ってください。指示がない場合、はめ合いのある部品では、試し切りをして実測してから最終データに反映するのが確実です。データ上は仕上がり寸法どおりに描いておき、必要になった分だけ後から調整するほうが、あとで見返したときに根拠が分かります。
3D CADで作ったほうがよいのでは?
組み上がりの干渉を確認したい場合や、立体的な加工が必要な場合は3D CADが適しています。一方、板材から部品を切り出すだけであれば必要なのは正確な平面図で、2D CADのほうが覚えることが少なく、修正も速く済みます。