使い方ガイド
Macで木工の図面を描く
— 実寸で描いて、材料を切る前に間違いに気づく
端材で作る棚から、売り物になる家具まで。頭の中の寸法だけで作り始めると、たいてい途中で数字の辻褄が合わなくなります。板厚を引き忘れた、内寸と外寸を取り違えた、扉が枠に当たる——。図面はきれいに見せるためのものではなく、材料を切る前に間違いに気づくためのものです。Macで木工の図面を描くときに必要なものを整理します。
木工でほしい図面は3種類
- 全体図 — 正面・側面・上から見た形と、外形の寸法。完成形の合意をとるための図です。
- 部材図 — 側板・棚板・背板といった部品ごとの仕上がり寸法。実際に切るときに見るのはこれです。
- 木取り図 — 買った板のどこから何を取るか。材料のむだと、木目の向きをここで決めます。
加えて、部品名・数量・仕上がり寸法を並べた部品リストがあると、ホームセンターのカットサービスに渡す寸法表がそのまま作れます。
手描きや描画ソフトで詰まるところ
板厚の計算が全部手作業になる
幅800mmの棚を、厚さ18mmの側板で挟んで作るとします。棚板の長さは800から18×2を引いて764mm。ここまでは暗算でも足ります。問題は、あとから「やっぱり幅を850にしよう」と決めたときです。棚板・背板・仕切り・引き出しと、関係する寸法がすべて連鎖して変わります。手で直すと、必ずどこか1箇所が古い数字のまま残ります。
寸法の数値が図形についてこない
描画ソフトで書いた寸法は「2本の線と文字」の飾りです。形を修正しても数値は変わらないので、直し忘れた数字が正しい顔をして図面に残ります。図面で本当に危ないのは寸法が無いことではなく、間違った寸法が書いてあることです。それを信じて切ってから気づきます。
図面用のソフトには、寸法の数値を図形の実測から作り直す仕組みがあります。手で打ち直さなくてよいぶん、直し忘れが減ります。
原寸の型紙が刷れない
曲線の部品、留め継ぎの角度、治具の穴位置は、原寸(1:1)で紙に刷って材料に直接あてるのがいちばん速くて確実です。用紙に収まるように自動で縮小して印刷されてしまうソフトでは、この使い方ができません。
Macで木工図面を描く方法
- 方眼紙と鉛筆 — 思いつきを形にするのは最速です。ただし修正の連鎖に弱く、記録として残しづらいという弱点があります。
- 3D CAD — 組み上がりの見た目や干渉の確認に向きます。一方、覚えることが多く、板から部品を切り出すだけの製作には手数が過剰になりがちです。
- 2D CAD — 実寸で描き、寸法を入れ、必要なら原寸で刷る。木工の工程とそのまま噛み合います。切削加工に出すならDXFで渡せます。
Olmeの場合
当サイトで開発している Olme(オルメ)は、macOSネイティブの2D CADです。木工の製作図に必要なことは、次のように扱えます。
- 実寸のまま描く — 用紙サイズと縮尺(A3・1:10など)を先に決めておき、あとは板の寸法をミリメートルで入力していきます。
- 寸法をまとめて計算し直せる — 直したい範囲を枠で囲んで端点をまとめて動かすと、枠に入った寸法の数値も実測から計算し直されます。板厚や全体幅を変えたときの手直しがここで片づきます。
- 原寸で刷れる — 1mmを1mmとして印刷できます。大きい型紙はA4に分割して刷り、貼り合わせて使えます。
- DXF・SVGで書き出せる — レーザーカッターやCNCで部品を切り出す場合、そのまま加工データとして渡せます。
描き始めるときの手順
- 用紙サイズと縮尺を決める(家具1点ならA3・1:10あたりが扱いやすい大きさです)
- 完成形の外形を、正面・側面・平面の3方向で描く
- 部材に分解する。ここで板厚を引いて、部品ごとの仕上がり寸法を出す
- 寸法を入れる。内寸と外寸のどちらを指しているかが分かるように入れる
- 板のサイズに部品を並べて木取りを決め、部品リストにまとめる
Olmeの公開通知を受け取る
Olmeは、縮尺・寸法・DXFを前提に作られたmacOSネイティブの2D CADです。実寸で描けて、原寸での印刷もできます。範囲を枠で囲んでまとめて動かせば、寸法の数値も計算し直されます。買い切りで、月額・年額の課金はありません。現在リリース準備中(2026年公開予定)で、公開時は7日間の無料お試しからご利用いただけます。公開時のお知らせは、メールアドレスのご登録で受け取れます。
よくある質問
3D CADのほうが完成イメージが分かるのでは?
見た目の検討や、家族・依頼主への説明には3Dが有利です。ただ、実際に材料を切る段になって見るのは部品ごとの平面寸法です。用途が板材の家具や小物であれば、2Dで部材図と木取り図を作るほうが、覚えることが少なく修正も速く済みます。両方を使い分ける方もいます。
手描きで足りているのですが、ソフトにする利点はありますか?
いちばん大きいのは修正への強さです。寸法を1つ変えたときの連鎖を機械が引き受けてくれます。次に再利用で、以前作った棚の図面を開いて寸法だけ変えれば別のサイズの図面になります。逆に、一点物を思いつきで作るなら手描きのほうが速い場面もあります。
ホームセンターのカットサービスに図面を渡せますか?
多くの店ではカット寸法の一覧(部品名・仕上がり寸法・数量)を伝える形になります。図面はPDFにして印刷して持参すると、木取りの意図まで伝わるので間違いが減ります。PDFでの書き出しにも対応しています。
レーザーカッターやCNCで切り出したい場合は?
加工機に渡すデータは実物と同じ大きさ(1:1)で作り、DXFなどのベクター形式で書き出します。注意点はMacでレーザーカッター用のデータを作る方法にまとめています。